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オールイングリッシュに意味あるのか?

英語を英語で学べるのか?

今、特に私立中高でオールイングリッシュが取り入れられています。日本語を一切使わず、英語だけの授業。ネイティブ教員だけでなく、日本人教員も日本語を使わない授業。すごいことをやっているように見えないでしょうか? オールイングリッシュを売り物にしている学校も多い。保護者にしても、英語が分からない人ほど、こんな授業を受ければ、うちの子も英語を話せるようになると思うことでしょう。

けれど立ち止まって考えてみましょう。英語で英語を理解するには、そもそも相当な英語力が必要。進学校であっても、中高レベルではそこまで達していず、オールイングリッシュから利益を得られません。要するに教室の前で外人が何かしゃべっているだけ。

オールイングリッシュにもメリットはあります。外人への度胸が身に付くこと。コミュニケーションで度胸は大事ですから全面否定はできません。ただし受験について言えば、オールイングリッシュはほとんど無意味。たとえば高一の英文法で「副詞節では未来形とらない」という規則があります。日本語で教える場合、副詞節を理解させ、練習問題を繰り返せば一カ月ほどでマスターできます。

これを英語のみで説明すると、かなりたいへん。副詞って何て言うんだろう。節って何て言うんだろう。そもそも副詞って何? 節って何?

結局、オールイングリッシュは自己満足。何も身に付かず、文法すっからかんのまま。中高生はオンライン授業で文法を学び直すことになります。オールイングリッシュなんて必要ないから文法演習、読解演習を充実してほしい、現場にいる生徒の切実な声ですが、学校に届くことはありません。

帰国生の英語力は低い

英語をペラペラ話し、かっこよく見える帰国生。オールイングリッシュの短所は、彼ら帰国生にも当てはまります。ペラペラのようでいて文法はメチャクチャ。英作文させてみれば一発で分かります。帰国生らしく自己主張し、長い英語を書いてはくるのですが、その文法たるや、お粗末の一言。

帰国生こそオールイングリッシュを最も極端な形で受けてきた人たち。アメリカで英語を話しながら英語を学んだわけです。けれど「副詞節では未来形とらない」と習うことはありません。ハイスクールでも文法をきちんと学びません。それは日本の中高生で、日本語文法が分からないのと同じ。日本語文法が分からなくても、私たちの日本語理解には問題なし。母語だからです。それと同じで、英文法をきちんと学ばなくても、アメリカ人はコミュニケーションで困らない。

けれど帰国生の母語は、英語でなく日本語。文法ほったらかしで、なんとなく英語しゃべって帰ってくるだけ。しかも自己主張という習慣だけは身に付けてきますから、彼らの多くは日本社会に適応できず、国語もできないし思考力もない。ましてや数学や歴史なんて何も分からない。酷なようですが、これが多くの帰国生の現実。

なぜオールイングリッシュがもてはやされたのか?

大学まで十年間、英語を学んでも使えるようにならない。どこかで聞いたことあるでしょう。文法に偏重しているから話せないんだとも。オールイングリッシュはその反省から出てきました。中学レベルからネイティブ授業を受ければ、高校卒業時にはペラペラになっているに違いない、そう思うことでしょう。

けれど、これまで日本人が英語を話せなかったのは文法に偏っていたからでなく、英語を話すメンタリティがなかったから。外人を前にし、頭の中は真っ白。それがこれまでの日本人。英語を話せないというより外人を前にして話せない。

黙っている生徒を見かねてネイティブ教員が日本語で話し始めたとしても、やはり生徒は黙ったまま。黙った生徒を前に外人が困惑、これが日本の英語教育で見られる風景。学校教員なら知らないはずないでしょう。こんな授業で外人と話せるようになるわけありません。

土台は文法

言語を正確に操ろうとする時、文法は欠かせません。当たり前のことですが、この文法が四十年ほど、日本の英語教育でずっと非難されてきました。その反動として、オールイングリッシュになったわけですが、その弊害も明らかになりつつあります。

きちんとした英作文を書くこと。訛りあってもいいから正確な英語を話すこと。アウトプットだけでなく、英語を正確に読める、聞けるというインプット。これこそ、英語教育が目ざすべき究極目標。

オールイングリッシュが有効になるのは、よほどの進学校で高三レベル、たいていの場合、大学レベルからです。しかも本気で英語を話したいなら、メンタリティ変更は不可欠。メンタリティは根本的な部分ですから、変更することはなかなか難しい。

中高生にオールイングリッシュの必要なし

オールイングリッシュは英語を正確に読み書きできるようになってから、やっと意味が出てきます。英語でしか手に入らない情報を得ようとする段階で、オールイングリッシュです。もちろん中高生レベルでそんな段階に達したりしません。

日本の英語教育は今こそ正確な文法に戻るべき。もちろん耳を慣らす必要はありますから、ネイティブ授業を週一度くらい受けることは有益でしょう。ただしあくまでその程度。オールイングリッシュは人生トータルで見て、ほとんど役に立たない自己満足授業です。