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英文法なくして英会話なし

幼児英語学習の意味

読者のみなさんは英会話って外人と話してれば、自然にできるようになると思ってませんか? だからこそ語学留学がもてはやされ、外国に行けばなんとかなると考えたりしてるかもしれません。あるいは保護者の場合、英語圏の子供のように英語に囲まれて育てていれば、自然に子供は英語を身に付けると考えていないでしょうか?

 

実際、私が住んでいる横浜港北でも、午前中に街を歩けば、外人に率いられた子供たちの集団に出会います。そこでは英語が叫ばれ、それなりに子供たちは英語の指示に従っています。これを続ければ、英語を使いこなせる大人になる、そんなふうにも思うことでしょう。

 

けれど英語圏で育ち、教育を受けることと、外国語として英語を習うということは、全く別問題。先ほどの外人に率いられた子供たちの例で言えば、確かにその時には英語が理解でき、話せるかもしれませんが、小学校に通い始めれば、途端に忘れてしまいます。また文法を習ってもいないので、英語のしくみが習得できているわけでもありません。子供たちの頭にあるのは、切れ切れの英語断片だけ。

 

ただし子供時代に発音が形成されるのは、事実。英語を教えていて、留学してもいないのに、発音がいい人がいます。どこで習ったの? と聞けば、たいてい、小さいころ習ったと答えてきます。ですから発音を良くするために、幼児英語学習にそれなりの意味はあるでしょう。

英文法こそすべての土台

日本語を使っている時、言葉を断片的につないで話している人はいないでしょう。意識する、しないにかかわらず、文法に則って話しているはず。英語でも同じ。確かに会話では崩して話すことはあっても、そこにもやはり文法があります。崩しても意味が変わらないからそうしているだけで、意味が変わるならコミュニケーションが成立せず、そもそも崩せなくなります。

 

発音が上手になることは良いこです。けれどコミュニケーションで何より大切なことは、内容を伝えること。発音はあくまで内容を伝えるための道具にすぎないと覚悟を決めましょう。大事なのは外見でなく、内容です。

 

日本語で話す時、私たちは発音を聞いてもらおうと思って話したりしません。伝えたいことがあるから話しているのです。英語でも、内容が大事。発音が上手にこしたことありませんが、最低限、区別できる発音をしているなら、あとは内容こそ磨くべき。特に、大人のコミュニケーションはそうです。文法なくして、いかなる言語活動もあり得ません。